東京都は世田谷区の用賀にある創業60年以上の喫茶軽食老舗【和菓子・お食事・喫茶 ミナト】へDECO-PONスタッフが潜入。
今回は東京支部の門松氏からのレポートです。
東京都は世田谷区のはずれ、東名と首都高渋谷線入り口付近は、公園と畑しかない、のんびりとした郊外でしたが、バブルの頃より、数件のレストランができてアメリカ村と呼ばれ、アメカジやハマトラで決めたシティボーイと、頑張ってハイウエストパンツをはいて、ポニーテールでおめかししたシティガールが、Alpha Cubic Racing Team のステッカーを貼ったシルビアに乗りつけては食事を楽しんだと伝えられています。
そんな彼らが愛したヒーローは、理由なき反抗のジェームズディーンですが、彼の501の着こなしはお手本と考えられていました。また、当時の業界の人達は、ボストンメガネをかけて、口ひげをたっぷりとたくわえては、テニスとサーフィンに興じたわけですが。そんな都会派ダディの愛した音楽はサッチモです。
一方、DCブランドの牙城といえば赤いカードの◯井ですが、ブティックには、2タック入ったズートパンツをサスペンダーで止めたハウスマヌカンが徘徊しており、働き始めでお金のなかった私は、欲しくもない服を薦められて、とても怖かったのを憶えています。
というわけで、首都高で渋谷青山六本木へ30分程で行けるこの界隈には、クルマで通勤する社長さんや、電車に乗れない芸能人が多く住むようになりました。ソーダ水の中に貨物船を見たと歌い、カセットウォークマン越しに、ありふれた郊外の風景を鮮やかに色づけしたニューミュージック界の女王も、結婚後、近郊に引っ越して来られて、【ミナト】のオムライスと出会うことになりました。
さて、前置きがながくなりましたが、ここから【和菓子・お食事・喫茶 ミナト】への潜入記です。
この【ミナト】は、表通りから一本脇道に入った目立たないところにあり、ひっそりとした佇まいです。
中に入ると、壁一面のお品書きに目移りするも、味噌ラーメンをオーダーしましたが、無いということなので、気を取り直して『冷やし中華』を注文。
出てきた冷やし中華は、中華料理店のような、麺が山盛り、その周りに具がのっている図とは違い、小振りな皿に麺は少なめで、男性には少し物足りないボリューム感です。
腰のある麺の食感を楽しみつつも、
休日のランチ時ともなると、結構賑わうのですが、ここでは、皆さんヒソヒソと、おはなしになるのです。まるで、漫画ガロの風景に迷い込んだようなタイムスリップ感を味わっているのでしょうか。あるいは、壁や調度類を吟味する内に、自然と無口になるのか。
気がつけば、曇った水槽越しに金魚を眺めては時間が過ぎてゆきます。
懐かしい冷やし中華を味わった後、次に『宇治金時かき氷』を注文。かき氷も、くだんの方のフェイバリットだそうです。
最近のかき氷は、荒めにかいて、口の中でクリスピーな食感を楽しんだりしますが、みなとのかき氷はフワフワで、口の中でホロリと溶けるはかなさが、乙女心を癒す食感です。冷やし中華同様に、かき氷も乙女仕様と理解したのでした。
今や絶滅危惧種にある、喫茶軽食というジャンルで、子供からおばあちゃんまで、乙女のハート射抜いて来たお店だと思います。それでは、肝心のオムライスのお味はというと、、、ぜひ皆さんに食して頂きたいと思います。
記/ 門松弘樹 (2014.09.02)
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